扶桑町では平成17年度より小中学校は二学期制を導入します。
H15.10.12
扶桑町教育長
1、なぜ二学期制をはじめるのですか?
誰に「一部の高校や大学では二学期制なのに、なぜ今まで小中学校では三学期制なのですか」とか「三学期制にこだわっていた理由はなんですか」と質問されたら、私は明確に答えることができません。ただ「今までの長い慣例ですから」としか答えることができません。
「小中学校は三学期制が当たり前」という従来からの慣例で、何の疑問も挟まず、是非の検討もされないまま三学期制が踏襲されていたわけです。
「ゆとりと充実」をうたい文句に学校週5日制の実施など教育改革が進んでいますが、一部には授業時数が削減された分、「学力低下」が起きるのではという不安が広がっています。学校では、小人数指導やティーム・ティーチングにより学習効果をあげ、基礎基本の徹底と余裕のある子へは補充課題に取り組ませるなど「学力低下」を起こさせないような取り組みをしています。また「生きる力」を育てるために各学校で工夫を凝らし、総合的な学習を展開しています。少なくなった授業時間のなかで、「基礎基本と生きる力を絶対身につけさせる」という課題を抱え学校は「ゆとり」とはほど遠い状況になってしまいました。子供達にも、教員にも、もっと授業に専念できる「ゆとり」を得るためにはどうすればいいのか。そのような問いの答えとして浮上してきたのが二学期制なのです。
二学期制にすることによって、式の回数が減ることや、これを機会に教育課程や行事の持ち方を工夫することによって、これまでよりも「余裕をもって子供たちと先生が触れ合うことができる時間」を生み出すことができます。
また、1年を細切れでなく、長期にわたる学期のなかでじっくりと学習に取り組ませることができるようになります。また、夏休みなどの長期休業を学期の中に入れることによって、単なる「休み」ではなく、継続した学習の期間という意識で過ごさせることになります。それまでの学習の不足を補う日を学校で作ったり、総合的な学習の課題にグループや個人で取り組ませる期間として位置付けることになります。
文部科学省も二学期制の導入と長期休業のあり方については肯定的な見解を示し、二学期制の導入を決める教育委員会は、全国的に急速な勢いで増えています。また、1年間の試行を試みたのち翌年度から完全実施に踏み込む教育委員会が多いことからも、二学期制のメリットは大きいと判断されます。
2、二学期制の実施状況はどうなんでしょう?
2003年度 仙台市 丸亀市 築館町 宮崎市 横浜市 横須賀市 京都市 大阪市 佐世保市 宇都宮市など109団体、小学校525校、中学校312校で実施
(検討中175団体)
県内では、知立市の小学校、佐屋町の2中学校で試行。 2004年度、豊田市、犬山市など4市で実施。2005年度4市町実施予定。
3、今のままの三学期制では問題点はどんなことなんでしょう?
1.
学校週5日制になってから、3学期の成績は本当に少ない授業で出さなくてはならなくなりました。中学校で週1時間しかない教科については、ほんの数時間で3学期の評価を出すことになることも起こり得ます。これで責任ある評価ができるのかという問題があります。
2.
学校週5日制に伴い、授業時数の削減=学力の低下という親の不安が消えません。また先生達にも「基礎基本の徹底」と「生きる力の育成」のために、こどもたちとのふれあいの時間を多くしてゆとりを持った教育をしたいという希望があります。
4、二学期制によるメリットとしてどんなことがあるのでしょう?
1.
長い期間で子供達の学習の様子を見る事ができ、今よりももっと確実な評価にすることができます。
2.
7月は中学校では管内大会の指導、12月は進路指導の大切な時期です。今までは、通知表をつける時期と重なっていましたが、それが解消でき、じっくりと指導に取り組めるようになります。
3.
長い学期を生かして、じっくりと学習に取り組むことができるようになります。
4.
夏休み、冬休みは、それぞれ1学期、2学期の中に含まれることになります。今までのように「休み」という感覚ではなく「それまでの学習を補う期間」「総合的な学習に取り組む時間」として位置付けやすくなります。
5.
行事の見直し(例 定期テストの回数減、始業式・終業式の減とその持ち方)等により授業時間を増やすことができ、その分「ゆとりと充実」が可能になってきます。
そのほか、小さなことですが、今でも前期・後期の2期制で行われている児童会・生徒会の役員の任期や上巻・下巻で編集されている教科書もありますから、不自然さがなくなるなどのメリットもあります。
5、二学期制によるデメリットもあります。対応策は?
1.
通知表が年2回しかないので、保護者にとっては子供達の学習について知る機会がへってしまう。
今の通知表をやめ、より具体的に子供達の様子がわかるものに変更します。また、それ以外にも学期途中(たとえば単元終了ごと)に子供達の学習の成果がわかるようなものをお渡しいたします。
保護者懇談会を夏休み中に持つなどじっくりと子どものことについて話し合う時間の確保に努めます。
2.
通知表や、学期途中の連絡表作成のために、先生達はますます忙しくなって、余計に「ゆとり」がなくなるのではないか。
扶桑町の学校は、職員室もIT化が進んでいます。コンピュータをフルに活用して、成績処理事務、通知表作成事務の能率化をはかります。
3.
前期と後期の区切りがはっきりせず、メリハリがつかないのではないか。
間に5日ほどの休業日を設ける予定でしたが、保護者や先生たちの意見で5日間の休業日を取らなくてもメリハリはつくという意見がありましたので土曜日、日曜日、体育の日の3日間を前期と後期の区切りとすることになりました。
4.
転校のとき困らないか
今のカリキュラムは大幅に変える必要はありません。扶桑町外へ転校しても授業の進度が違うことで困るということはおきません。
1.
高校進学調査書(内申書)の成績はどうなるのか
今まで調査書には2学期の成績が記入されましたが、前期の成績が記入されます。3年生になったら、前期の初めからそのことを意識して学習に取り組んでいただくことになります。
6.
中学校では、定期テストが減り、子どもたちの気がゆるむことはないか。また、高校進学を控え子どものことを知るデータを得る機会が減るが・・・・。
日常のテストも重視し、そのデータを保護者へお知らせします。(コンピュータ処理により保護者の要望におこたえできる形式とすることも可能です)
6、学期の期間はどうするのですか?(下線部は検討委員会の結果変更になりました)
1.
学期について・・・・1学期=4月1日から10月第2月曜日(体育の日)
2学期=10月第2火曜日から3月31日
2.
長期休業について・・夏休み=7月21日から8月31日
秋休み=無し・・・前期と後期の間は土、日、体育の日の3日間
冬休み=12月24日から1月6日
春休み=3月25日から入学式の前日
3.
式について・・・・・入学式・前期始業式=従来どおり尾張地区の決定による
前期終業式=10月体育の日前の金曜日 給食を食べて下校
後期始業式=10月体育の日の次の火曜日 給食を食べて下校
4.
定期テスト・・・・・前期中間テスト・期末テスト
後期中間テスト・期末テスト
第2回 二学期制検討委員会(1月30日)では、
いただきました保護者の皆様や先生たちの意見について検討いたしました。
特に、秋休みについて保護者からは、「体育の日の後、2日間子供たちが家にいるのは共働きの親にとってはつらいのではないか。」「秋休みをとるために冬休みを少なくするくらいなら、秋休みはなくてもよいのでは」という意見が多くありました。
先生たちからも、「秋は気候もよく、学習のための時間に使いたい。この時期に休みにするのはもったいない」「前期のまとめ、後期の準備のための時間は多くは必要としない。終業式の日の半日、始業式の日の半日があればいいのでは」という意見が寄せられました。
これらの意見を踏まえ、秋休みについて検討をした結果、前期と後期の区切りは、土曜、日曜、体育の日の3連休のみ(秋休みという言葉も使わない)とし、その前後の日を前期終業式、後期始業式とし、給食を食べて下校させるということに決定いたしました。
それに伴い、冬休みの期間をどうするか検討しました。「今はあまりにも休みが多すぎるから、冬休みは短くていい」という委員の意見もありましたが、最終的には、「秋休みを作るために冬休みを2日間短くする計画をしたのだから、秋休みがなくなればその必要はないのでは」という結論に至りました。
また、保護者からは「夏休みをもっと短くしたほうがよい」という意見もありましたが、気温が高く学習する環境ではないことから、現在のままの8月末までが適当ということになりました。
したがいまして、春休み、夏休み、冬休みの期間は、現在とまったく同じになります。
この決定を受け、各学校では、年間計画の作成に入ります。二学期制への切り替えを契機に、大幅な年間計画の見直し、組みなおしをいたします。