扶桑町民聴講生制度の計画にあたって

 

       今 開かれた学校づくりのその一つとして位置付ける。

       「生活科、総合的な学習で地域は学校に力を貸しているが、学校は地域に何ができるのか?」という声がある。それに答える一つになるのではないか。

       学校教育は大きな意味での生涯学習の一つのステージと考える。とすれば、今一度フィードバックして基礎基本を学びなおしたいという人がいれば、学校教育現場そのものを、生涯学習に開くべきと考えた。

       学校に地域の方が入ることの是非については、いま、様々な講座や授業で、地域の方が講師に入っている、また、授業参観日などでは、親子でともに工作を作るなど、学習活動を展開している事例はごく普通に行われている。授業参観も日常的に見ていただくように呼びかけ、時には授業に参加していただくこともある。以上のことから、教室に地域の方が入っていただくことは特別なことではなく、どの教科でも、地域の方が入って共に学習を進めれば、様々な面でのメリットを期待できる。

       考えられるメリットとして

学校は、学校を公開する機会となり、学校教育の理解を得ていただくと共に、学校評価も得ることができ、時代に即応した学校づくりへの意見をいただく機会となる。安全管理面でも、地域の方の協力を得る一つの道でもある。

受講生は、学習の機会をもてたこと、子どもたちとのふれあいの中に、新たな生きがいをみつけだしていただける。

子どもたちは、受講生の熱意に感化をうけ、競争意識で学習に熱が入る。また、世代を超えた交流の中にいたわり、気遣いの優しい心を持つことができる。数々の体験談などを聞く機会ともなる。

教員は、学習の場面場面においては、授業の手伝いをしていただいたり、理解の遅い子への支援に回っていただいたり、学習活動を補助していただける。また、外部の方が入ることにより、授業者として姿勢を正して授業に臨むことになる。

       マイナス面は、受講生の不適格性が合った場合、子どもたちへの悪影響があるとか、教室内での様子を他人に話すことによって子どもたちのプライバシーが侵害されるなど考えられる。(この点は、事前に適正を把握すると共に、よく話をし、了解の上で学校に入ってもらう)その他、いろいろな問題が生じたときには、その都度教育委員会、学校で検討し合い、よりよいものを目指す。

 以上、企画するにあたって私が考えたことです。「聴講制度」というと表面上は、町民側の利益が表面に出ていますが、私としては、それによる学校側の利益につながる付加価値を大いに期待しております。

 平成14年9月5日   扶桑町教育委員会 教育長 河村共久

 

 

扶桑町民聴講生制度推進事業実施要領

第1 趣旨

  この要領は、扶桑町民聴講生制度推進事業の実施に関する必要な事項を定めるものとする。

第2 事業の目的

  生涯学習の場として、小中学校で行われている授業、行事等の教育活動の場を広く町民に開き、町民と児童生徒の共生と協力、競争の中に、より質の高い教育活動の展開を期待するとともに新しい学校のあり方を模索する。

第3 事業のねらい

(1)学校教育を生涯学習の基礎基本を学ぶ場ととらえ、町民の希望者にも、生涯学習確立のための再教育の機会とする。

(2)完全に地域に開かれた学校の姿を求め、学校が地域を作り、地域が学校を作るという関係を醸成する。

(3)町民と児童生徒がともに生活する場や学びあう場を持つことで、高齢者には生きがいを提供し、児童生徒には思いやりと学習意欲の向上を期待する。

(4)学習活動の場面によっては、聴講生も指導者として知識技能を生かすことができ、より質の高い学習活動が可能になる。

(5)授業に適度な緊張感を与え、教員の意識の改革をもたらす。  

第4 事業の内容

(1)希望により、学校教育活動の一部、あるいは全部を聴講生として児童生徒とともに学習する場を町民に提供する。

(2)必要に応じて、通知表を学校で作成し、又終了証を教育委員会で作成し、聴講生の励みとする。

第5 事業の推進

(1)教育委員会が、町民の希望を取りまとめ、町内小中学校との調整を図る。

(2)町民聴講生は、学級定員数外であるが、原則として各クラス2名までとし、クラス人員が多くならないように配慮するとともに聴講生の子、孫の学級は避ける。

(3)健全な教育活動の支障をきたすような行為があった場合には、聴講生の身分を取り消す。

(4)受講料は、無料であるが教材費・給食費等は実費聴講生の個人負担とする。

(5)事故等があった場合、学校、教員、児童生徒への責任を求めないこと、保障制度はないため、聴講生の自己責任において処理することとする。

(6)申し込み要領については、別途定める。

この要領は、平成14年4月1日より適用する。

 

 

 

        
    心和む子どもたちとの交流風景                時には講師となって
    「本当に子どもたちはかわいくて」               「この制度はわが町の宝です」    


        
    19年度扶桑北中学校には6名入校                 楽しみにしていた英語の授業           
    (19年度は町全体で10名の方が受講)              「こんな発音でいいかしら?」      


     
    「私は今年で5年目になります」
    子どもたちと一緒に掃除や給食もしています